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起終点駅 ターミナル

「終点駅」はやがて「始発駅」になる。

11月7日(土)全国ロードショー<br><br>(c)2015 桜木紫乃・小学館/「起終点駅 ターミナル」製作委員会
11月7日(土)全国ロードショー

(c)2015 桜木紫乃・小学館/「起終点駅 ターミナル」製作委員会
起終点駅 ターミナル

出演:
佐藤浩市 本田翼
中村獅童 和田正人 音尾琢真 泉谷しげる 尾野真千子

原作:桜木紫乃 「起終点駅 ターミナル」(小学館刊)
音楽:小林武史
脚本:長谷川康夫
監督:篠原哲雄

配給:東映
【ストーリー】
男は、愛した女の死から逃れるように果ての街の駅に降り立った

北海道の旭川で裁判官として働く鷲田完治(佐藤浩市)のもとに、学生時代の恋人だった結城冴子(尾野真千子)が被告人として現れる。彼女に執行猶予付きの判決を与えた完治は裁判後、冴子が働くスナックに通い逢瀬を重ねるようになるが、かつて愛し合った男と女の再会の時間は限られていた。2年の北海道勤務を終え、妻子の待つ東京へ戻る日が近づいていた完治だったが、彼はすべてを捨てて冴子と共に暮らしていこうと決める。けれど、冴子はその想いに応えることなく完治の目の前で自ら命を絶ってしまうのだった。

女は、果ての街で孤独に生きる男から未来への切符を受け取った

それから25年。完治は誰とも関わることなく釧路で国選弁護人としてひっそりと生きていた。それはまるで愛した女性を死に追いやってしまった自分自身に裁き罰を課すようでもあった。そんなある日、弁護を担当した若い女性、椎名敦子(本田翼)が完治の自宅を訪ねてくる。ある人を探して欲しいという依頼だった。個人の依頼は受けないと心に決めて生きてきた完治だったが、家族に見放され誰にも頼ることなく生きてきた 敦子の存在は、ずっと止まったままだった完治の心の歯車を少しずつ動かしていく。敦子もまた完治との出会いによって、自分の生きる道を見出していくのだった。

そして、人生の終着駅だと思っていた釧路の街は未来へ旅立つ始発駅となり、2人それぞれの新しい人生が動き出そうとしていた。
【見どころ】
原作は直木賞作家の最高傑作。実力派キャストに支えられ、静かだけど心が強く揺さぶられる、そんな日本映画らしい日本映画が生み出された。

何と言っても、主演・佐藤浩市の演技に圧倒された。台詞が少ない作品だが、その分キャストの演技をじっくりと見ることができた。個人的には、劇中に何度か出てくる佐藤浩市と中村獅童の会話のシーンに魅きこまれた。ふたりの何気ないようで心の底を映し出している会話は必見だ。

終着駅が始発駅になっていく様も要注目だ。佐藤浩市と本田翼のふたりが、それぞれ抱えた罪と向き合い新しい人生に向かっていく様に涙を誘われてしまった。特に佐藤浩市がある人物から手紙を受け取ってからの流れは圧巻で、この作品の最大の見どころと言っていいだろう。私も思わず涙をこぼしてしまった。

台詞が少ないからこそ、キャストの微かな表情の変化や細かい仕草が私たちの心を揺さぶる。「誰かにとっての終着駅は、誰かにとっての始発駅?」。この作品があなたにとって、何かへの始発駅になりますように。

Text by EISUKE